「孫ができてゆっくりしたい」…大盛り肉ソバで有名な那覇の波布(はぶ)食堂が閉店へ
うわさを聞きつけた常連客や観光客が、店の味を記憶と記録に残そうとスマートフォンを片手に連日お店に押し寄せている。
空席を待つ列が外まで続く昼時、箸を指す場所が見当たらないほど野菜炒めが積み上げられた名物「肉そば」(税込み750円)がテーブルに置かれた。
「いただきます」より先にお客さんから「すごい」「やばい」との悲鳴にも似た声が上がる。
調理場で鍋を振るう店主の仲村渠梨枝子さん(67)は「大盛りの理由は無い。少ないより多い方がいいさ。あえて言うなら気持ち」と笑う。
仲村渠さんは伊平屋村出身。92年、那覇埠頭に「お食事処(どころ)波布」を開店し「いつの間にか波布食堂って呼ばれるようになった」。
朝6時半から仕込みを始め、午前11時の開店と同時に流れ作業で次々と山盛りのチャンプルーが湯気を上げる。
午後6時すぎの片付けまで2人の妹たちと調理場に立ち続ける。
目の回る忙しさの中、お弁当待ちの客にもそばを差し出す「カメカメー攻撃」を忘れない。
「最近孫ができたからゆっくりしたい」。
閉店の理由を話す梨枝子さんは「常連客は家族のよう。お客さんにさみしくなると言われて後ろ髪を引かれる思い。良いお客さんに恵まれた」と言う。
調理場の薄くなったまな板が27年間の慌ただしさを物語っている。
Source: おいしいお
「孫ができてゆっくりしたい」…大盛り肉ソバで有名な那覇の波布(はぶ)食堂が閉店へ